大衆酒場

大衆で思い出した、潰れた巨大大衆酒場のことを書いておく。
はじめて行ったのは潰れる5年以上前か、「朝飯を食いに行こう」と首タオル&長靴で向かった「大衆酒場 大利根」は日雇いのおっさんで溢れていた。
「隣入れてもらうね」とおっさんでぎゅうぎゅうの机に混ぜてもらうと、カタコトのおねぇちゃんが注文を取りに来た。天井まで壁一杯貼られたメニューを見ながら「チューハイと…鯨の刺身」と言うなり、見知らぬ隣のおっさんが「ねぇちゃん、鯨はヤバイから。」とありがたい忠告。「じゃぁ玉子。」おねぇちゃんが去ると、隣のおっさんは私に「これで我慢しときな。」としじみの味噌汁*1をくれた。連れて行った知人の子は、席を担当してくれているアジア人女性*2にメロメロで、ジュース一杯で酔ったような顔をしている。私も寝起きのチューハイがまわって上機嫌だった。
二階は同経営者の寿司屋だったが、私は寿司に縁が無く、結局一度も行かなかった。
おっさんが懸命に給仕のおねぇちゃんの気を引くためフルーツ*3を頼んでいた。 店の前で知人が強盗にあい血溜まりに倒れた事もあった。 奥の方の席で泥まみれのおっさん達が半分泣きながら喜納 昌吉の「花」を大合唱していたのを見たこともあった。泪橋のたもとにあった糞安い酒場は残念ながらもう無い。

*1:確か数十円だった。

*2:ホステスみたいに女性がつくが服装はいたって食堂風割烹着

*3:店の中では高級品